キョウジ先生の苦悩

   *********


   みんながお昼寝している静かな時間。

   ア「あ〜疲れた〜!やっと一休みできるね」
   キ「みんなこのまま大人しく寝ててくれればいいんだけどな」

   子供達はお昼寝室でおねんね。
   先生二人は休憩する為に先生室でコーヒーを飲みながら一休み。
   そんなとき、、、。

   トントン。

   キ「何だ?」

   小さなノックが聞こえて、キョウジ先生は驚いたように扉を開けました。

   キ「レイン?ど、どうしたんだ!?」
   レ「、、、ジ、センセ、ひっく、、、、うえぇ」
   キ「さあ、お部屋に入りなさい」

   レインを部屋に入れようとしましたが、
   レインは中にアレンビー先生がいる事を知って
   いやいやと首を振ってしまいました。

   ア「あ!そうだった!あたし外掃除しなきゃだったんだ!じゃあね、レインちゃん」

   気を使って出て行くアレンビー先生に目だけで謝ったキョウジ先生は、
   まだ泣き止まないレインを中に入れて椅子に座らせると、
   温かい牛乳をそっと渡してやりました。

   レ「、、、あったかい。せんせ、ありがとう」
   キ「飲んだらきっと落ち着くよ。ゆっくり飲もうな」
   レ「ん、、、」

   ゆっくりと牛乳を飲むレインの背中を何度も撫でてあげていたキョウジ先生は。
   やっとレインが泣き止んだのでホッと安心したように息を吐きました。

   キ「レイン、どうしたんだ?怖い夢でも見たのか?」

   レインは小さく首を振りました。

   キ「誰かにいたずらされたのか?」

   それにもやっぱり、レインは首を振ります。
   どうしようかと困った顔をしたキョウジ先生は。

   レ「キョウジせんせ、レインのことすき、、、?」
   キ「え?ああ、大好きだよ」

   いきなりの質問に一瞬驚いて、けれど笑顔で頷きました。

   レ「じゃあ、アレンビーせんせのことは、すき?」
   キ「レイン、どうしたんだ?」
   レ「すきぃ?」
   キ「、、、あ、ああ。好きだよ」

   その言葉に、レインはみるみる涙を浮かべて泣き出してしまいました。

   キ「レ、レイン!?どうしたんだ??」
   レ「きのう、、、ひっく、、、おかあさんが、いってたの。
     ひっく、、、『すきなひととけっこんできるのはひとりだけよ』って、、、
     ひっく、、、それをかんがえてたら、こわくなっちゃったの、、、
     レイン、せんせとけっこんできない?」
   キ「え、え〜っと、、、」

   その言葉にキョウジ先生は困ったように上を見て、
   なんて言えばレインが安心してくれるのか一生懸命考えました。

   キ「レインは先生の事好き?」
   レ「すき!」

   一生懸命言ってくれる姿がとても可愛くて、
   キョウジ先生はそっとレインの掌を両手で優しく包み込みました。

   キ「先生もレインがすきだよ」
   レ「、、、ほんと?」
   キ「ああ、本当だ」
   レ「アレンビーせんせよりも、、、すき?」
   キ「アレンビー先生よりも」
   レ「ふえっ、、、」

   それを聞いた途端嬉しくなったのか泣き出してしまったレインに優しく笑うと、
   キョウジ先生はレインの頬にそっと手を当てて撫でました。

   キ「じゃあレイン、先生とお約束しようか」
   レ「おやく、、、そく?」
   キ「ああ。レインがもっと大きくなって、そうだな〜
     アレンビー先生と一緒くらいになっても先生の事をまだ好きでいてくれたら」
   レ「すきよ!!」
   キ「そうか。じゃあ、その時まで先生を好きでいてくれたら、
     先生と結婚しよう!」
   レ「せんせ、、、」
   キ「約束だ!」

   子供を安心させるためだけの言葉。
   どうせ大きくなってしまうまでに忘れてしまうだろうと思って言っただけの約束。
   そんな約束をしてしまう自分に罪悪感を抱かないでもないけれど、
   それでレインが安心するのならいいかなと思っていたキョウジ先生は。

   レ「せんせ、、、だいすき」

   照れたような、幸せそうな笑顔を浮かべるレインが
   一瞬とても綺麗な大人の顔に見えて。
   胸が熱くなるのを感じました。
   一瞬自分で自分がコントロールできなくなってしまう程の衝撃。
   無意識のうちにそっとレインの唇に自分の唇を寄せてしまっていたキョウジ先生は。

   レ「せんせ?どうしたの?」
   キ「はっ!!」

   レインの純粋な声に我に返ったように、急いでレインから顔を離すと、
   顔を真っ赤にして俯きました。

   キ(い、今俺は、、、何をしようとして、、、っ!?)

   どうしようか悩んでしまったキョウジ先生の悩みを吹き飛ばしたのは、
   元気な子供達の声でした。

   ド「せんせい!レインが、レインがいないんだ!!」
   シ「だれかにゆうかいされたのかもしれん!」
   ジ「レインさんがあぶないです!」
   チ「かわいいからだ!ぜったいかわいいからだぜ!!!」

   キ「わ、わかったわかった!レインならここにいる!落ち着け!!」

   みんなを宥めるようにレインを守護部隊に手渡したキョウジは、
   安心したように笑う取り巻き隊に囲まれながらも、
   振り向いて小さく笑うレインに笑って手を振りました。

   キ「どうしよう、、、」

   頭から離れないレインの笑顔に顔を赤くして、
   静かになった部屋で小さく息を吐くと、
   ぬるくなったコーヒーを恥ずかしい気持ちで飲み干しました。

   おわり

   *********


   これじゃあキョウジ変態です(泪
   でも掌を握るのが書きたくてそこから肉付けしたらこんな話に(苦笑


Novel's Top