確信犯

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   生き物は、死ぬまでに打つ心拍数が決まっているらしい。
   心臓が脈打てば打つ程寿命が縮まってしまうのなら。
   オレはきっと、早死にをするに違いない。

   「花井、オレ花井が好きだぞ?花井だけが大好きだ!!」

   繰り返される睦言に、いちいち心臓は反応してしまって。
   捩切れるんじゃないかと思う位早鐘を打ち始める。

   ― 確信犯 ―

   そう。きっと田島は確信犯なのだ。
   オレの心臓を毎日一回は焦らせて、早死にさせようとしてるに違いない。

   「オレとずーっと一緒にいような」

   的確にオレの弱点を突いて来て。
   オレが言って欲しい事が分かるみたいに言葉を紡ぐ。
   何も考えていないような顔をして、
   計算しつくされた言葉で話しているに違いない。

   「オレ、花井の側で一生野球していられたら幸せなんだ」

   そうじゃなきゃ。
   田島が確信犯じゃなきゃ。
   こんなにオレを熱くさせる言葉なんて言わないはずなんだ。
   だって、そんな風に言われたら。

   「オレも…ずっとお前といたい」

   田島が一番喜ぶ言葉を返してしまうから。

   やっぱり田島は確信犯だと思うのだ。

   終わり


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   超短編を書いてみたかった。

モドル