確信犯
*********
生き物は、死ぬまでに打つ心拍数が決まっているらしい。
心臓が脈打てば打つ程寿命が縮まってしまうのなら。
オレはきっと、早死にをするに違いない。
「花井、オレ花井が好きだぞ?花井だけが大好きだ!!」
繰り返される睦言に、いちいち心臓は反応してしまって。
捩切れるんじゃないかと思う位早鐘を打ち始める。
― 確信犯 ―
そう。きっと田島は確信犯なのだ。
オレの心臓を毎日一回は焦らせて、早死にさせようとしてるに違いない。
「オレとずーっと一緒にいような」
的確にオレの弱点を突いて来て。
オレが言って欲しい事が分かるみたいに言葉を紡ぐ。
何も考えていないような顔をして、
計算しつくされた言葉で話しているに違いない。
「オレ、花井の側で一生野球していられたら幸せなんだ」
そうじゃなきゃ。
田島が確信犯じゃなきゃ。
こんなにオレを熱くさせる言葉なんて言わないはずなんだ。
だって、そんな風に言われたら。
「オレも…ずっとお前といたい」
田島が一番喜ぶ言葉を返してしまうから。
やっぱり田島は確信犯だと思うのだ。
終わり
*********
超短編を書いてみたかった。
モドル