温泉へ行こう!10

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   10:ハッピーエンドなんだからいいじゃない!

   その日の朝、計画通り二人で「おはよう」っていいながら
   真っ赤な顔の三橋にモーニングキッスをした阿部は。
   ご機嫌で朝食を取って三橋と帰りの用意をしていた。

   「三橋、用意出来たか?」
   「う、うん」

   未だに真っ赤な顔をして鞄のチャックを閉めた三橋の鞄を
   さりげなく持ってやる。恋人には優しくしたい質なのだ。

   「い、いいよっ!」
   「オレが持ちたいの」

   それが、今朝無理をさせた恋人とあっては尚更だ。

   「あ…りが、とう…」

   でもその可愛い恋人は、まだまだ阿部の心が分かっていないらしい。
   真っ赤な顔で照れたような仕草をされれば、
   無理させたくないのについ無理をさせてしまいたくなるからだ。

   「三橋」

   そっと顔を近づけて目を閉じたら。

   「え、ええっ!?」

   戸惑いながらもほんの少し触れるだけのキスをくれる事に気を良くして。

   「んっ!んん…っ」

   我慢出来なくなったように荷物を降ろして深く口づけたら。

   「あ、あ、阿部えええええ!!!!」

   驚愕したような友人の声が聞こえて、またかと溜息を吐きそうになった。

   「んんっ!んんんんん〜〜〜〜!!!!」

   でも逆に見せつけるみたいに暴れる三橋を押さえつけて、
   より一層濃厚な口づけをしてやる。

   「あー!すっげぇ事してるー!いいな〜」
   「た、田島!見ちゃ駄目だ!!」
   「オレらももう少し楽しんじゃおうぜ!」
   「い、いいいいやだあああああ!!!!」

   煽られたみたいに逃げる花井を追いかける田島に笑った阿部が。

   「ホント馬鹿だよな〜アイツら」

   もう一度三橋を抱きしめた次の瞬間。

   「ば、馬鹿は阿部く…ん、だ!!!」

   恋人から熱いビンタを食らって、幸せそうに倒れてしまった。

   END

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   最後までお馬鹿なやつらであしからず!

モドル