太陽としゃぼん玉

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   しゃぼん玉が舞った
   すうっと空に上って行って
   君という太陽の光を浴びて輝いていた

   「花井ー!見て見て!しゃぼん玉!!」

   楽しそうに皆としゃぼん玉を飛ばすアイツに呆れた視線を向けて、
   細長い吹き口から丸く透明なしゃぼん玉が出来る様を見つめる。

   「すっげー綺麗だよな〜!!」

   楽しそうに笑う姿はまるで太陽みたいな笑顔。
   思わず眩しいものを見たように目を細めてしまったのは、
   その太陽がとても明るい笑顔でオレだけを見つめているからで。

   「ったく、ガキじゃあるまいし」

   照れたように顔を背けながら憎まれ口を叩いてしまうのは、
   そんな笑顔が本当はずっと大好きだなんてバレないようにする為だ。

   「このしゃぼん玉花井みたいに綺麗だな!」
   「ば、馬鹿っ!何言ってんだよ!!」
   「ホントの事言っただけだろ〜!?」

   真剣な顔でそんな事を言われるとひどく弱い。
   普段はエッチで馬鹿で、オレみたいなデカイ男を好きだとか言うし、
   何を考えてるのか全然掴む事なんて出来ないんだけれど。

   「だって花井みたいにキラキラ輝いてる」

   野球をしている時のひどく真剣な表情は普段と全然違って。
   本当はいつも見ていると胸が苦しくなってしまうなんて。
   そんな事とてもアイツ本人になんて言えないけれど。


   「、、、太陽の光があるから輝いてんだろ、、、」


   「え?何か言ったか??」

   やっぱり素直になる事なんて出来ないから、
   なんでもないと真っ赤になった顔を素っ気なく反らせてやる。

   「何だよー」

   ケチなんて唇を尖らすアイツが素直に拗ねたような反応を返してくれるから。
   少なくともオレの作戦は成功しているらしい。

   しゃぼん玉が輝いた
   何処までも高みを目指して
   君という太陽の光を浴びて舞い上がる

   「さーて!そろそろ練習だな!今日も頑張ろうな、花井!!」

   途端に楽しそうに笑うアイツの太陽のような笑顔が曇らない限り。
   しゃぼん玉のように危うく、もろい自分だけれど。

   「、、、おう」

   側で輝いていられるようにしようと思った。

   終わり

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   タジハナで花井君視点。なんかホンワカしたのが書きたかったんです

モドル