旅立ちの詩4
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「後は…目覚めるのを待つだけだ」
ベッドに寝かされたキョウジは、まるで本当の人間の様に息をして眠っていた。
「レイン…」
「大丈夫よ。なんてったってあなたの兄さんなんだもの」
レインの声に頷いて、ドモンはただひたすら祈るようにキョウジを見つめた。
一秒が一時間に感じる。
どれだけ無言で見つめていただろう。
「う…ぅん」
「に、兄さん!」
「キョウジ!」
「キョウジさん!」
目覚める気配に全員がベッドに近づく。
「………」
キョウジは目を開いて黒い瞳で周りを見渡した。
「う、うわっ!兄さん!?」
そしていきなり無言で跳び起きた。
「兄さん…?」
キョウジは驚く3人をしばらく見つめて、
信じられないものを見たように目を見開いた。
「な、何故私が生きているのだ?DGと一緒に死んだはずじゃ…」
「兄さん!」
手術が成功していた事を知ったドモンは、涙を流してキョウジに抱き着いた。
「ド、ドモン!どうした!」
「兄さん!兄さん!」
「キョウジ…」
「父さん!」
「会いたかったぞ」
「…父さん」
三人が抱き締めあうように涙しているのを見たレインは、
何も言わず、幸せそうに笑って部屋を出た。
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